建設現場で石綿(アスベスト)を吸い健康被害を受けたとする集団訴訟で、2020年12月14日付、最高裁判所第1小法廷(深山卓也裁判長)において、二審で国の賠償対象となった原告側と国双方の国家賠償請求に関する上告を退ける決定が裁判官5人全員一致でなされました。
また、同種訴訟で「一人親方(個人事業主)」などを含む作業員への国の賠償責任が初めて確定されました。
一方で建材メーカーの賠償責任は「原告らが働いていた現場に被告企業の製品が到達したと証明されていない」と判断し、建材メーカーの賠償責任は否定されました。
石綿(アスベスト)健康被害の訴訟では、2018年3月の2審・東京高裁判決において、「遅くとも1975年以降に国は防じんマスクの着用や警告表示を義務付けるべきだった」と指摘し、石綿(アスベスト)を含む製品の製造・販売が原則禁止となった2004年までに規制しなったのは違法だと結論づけた。その規制を怠った責任を認めて国に約22億8000万円の賠償を命じた判断が確定した。
石綿(アスベスト)の労災認定992事業所名公表
2020年12月16日、厚生労働省は石綿(アスベスト)が原因の疾患で2019年度に労災認定された人や、特別遺族給付金の対象となった人働いていた全国の992事業所の名称・所在地・作業状況などを公表しております。
詳しくは、厚生労働省HPをご覧下さい。
【石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表(平成30年度以前認定分)】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08390.html
「石綿ばく露作業状況」の区分一覧
- 石綿鉱山に関わる作業
- 石綿糸、石綿布等の石綿紡織製品の製造工程における作業
- 石綿セメント、石綿スレート、石綿高圧管、石綿円筒等のセメント製品の製造工程における作業
- ボイラーの被覆、船舶用隔壁のライニング、内燃機関のジョイントシーリング、ガスケット(パッキング)等に用いられる耐熱性石綿製品製造工程における作業
- 自動車、捲揚機等のブレーキライニング等の耐摩耗性石綿製品の製造工程における作業
- 電気絶縁性、保温性、耐酸性等の性質を有する石綿紙、石綿フェルト等の石綿製品又は電解隔膜、タイル、プラスター等の充填剤、塗料等の石綿を含有する製品の製造工程における作業
- 石綿や石綿含有岩綿等の吹き付け・貼り付け作業
- 石綿原綿又は石綿製品の運搬・倉庫内作業
- 配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業
- 造船所内の作業(造船所における事務職を含めた全職種)
- 船に乗り込んで行う作業(船員その他)
- 建築現場の作業(建築現場における事務職を含めた全職種)
- 解体作業(建築物・構造物・石綿含有製品等)
- 港湾での荷役作業
- 発電所、変電所、その他電気設備での作業
- 鉄鋼所又は鉄鋼製品製造に関わる作業
- 耐熱(耐火)服や耐熱手袋等を使用する作業
- 自動車・鉄道車両等を製造・整備・修理・解体する作業
- 鉄道等の運行に関わる作業
- ガラス製品製造に関わる作業
- 石油精製、化学工場内の精製・製造作業や配管修理等の作業
- 清掃工場又は廃棄物の収集・運搬・中間処理・処分の作業
- 電気製品・産業用機械の製造・修理に関わる作業
- レンガ・陶磁器・セメント製品製造に関わる作業
- 吹付け石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業
- エレベーター製造又は保守に関わる作業
- ランドリー・クリーニングに関わる作業
- ガスマスクの製造に関わる作業
- 上下水道に関わる作業
- ゴム・タイヤの製造に関わる作業
- 道路建設、補修等に関わる作業
- 映画放送舞台に関わる作業
- 農薬、バーミキュライト等を扱う作業
- 酒類製造に関わる作業
- 消防に関わる作業
- 歯科技工に関わる作業
- 金庫の製造・解体に関わる作業
- タルク等石綿含有物を使用する作業
- その他の石綿に関連する作業
- 上記の作業の周辺において間接的なばく露を受ける作業
ご存知か!!アスベスト(石綿)健康被害の救済
アスベスト(石綿)により中皮腫や肺がんにかかった方等に対し、医療費等の救済給付が支給されます。
詳しくは、独立行政法人環境再生保全機構HP石綿健康被害救済ページをご覧下さい。
https://www.erca.go.jp/asbestos/index.html