新型コロナウイルス感染拡大にともない、「除菌商品」が「売れ筋」となっておりますが、そんな商品、とくに「空間除菌用品」で、さまざまな問題点が指摘されています。

雑貨なのに誤解、誇大広告商品は、以前から販売され続けており、長らく効果が認められていないにも関わらず、このような商品はなくならず、昔からいたちごっこの状況となっております。

「空間除菌」については、WHOや厚生労働省などの公的機関がはっきりと、「非推奨」としており、医薬品や医薬部外品として認められた商品はありません。

その為、病気を防ぐ効果をうたうことは出来ません。

それにも関わらず「空間除菌」とキャッチコピーで、“防げそう”なイメージがあると感じて、購入する方が多くいらっしゃいます。

専門家も「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない。宣伝に惑わされず、必要な対策を実施してほしい」と指摘しております。

このような「不安ビジネス」は新型コロナウイルスの感染が拡大した最近になって始まったものかと言えば、そうではありません。

今回の新型コロナウイルス感染に関わらず、「がん」「認知症」に効果があるや、健康に良いと「●●エキス」配合サプリメント、「●●水」「磁気の力で…」など多くの商品がネットなどで出回っております。

因みに、この現象は例えば「健康」「災害」「有事」「防犯」「金融」「社会不安」「健康」など幅広い分野で起こっております。

「健康」について、健康食品・サプリメントでは、現在、医薬品や医薬部外品でないため「病気を治したり防いだりする効果がない」にもかかわらず、「効きそう」なイメージで国内で1.5兆円とも言われる一大市場を形成しております。

「空間除菌用品」に関して、2014年3月27日、消費者庁は「二酸化塩素を発生させる商品を部屋に置いたり首から下げたりするだけで空間除菌が行えるとした宣伝に根拠がなく、景品表示法違反に当たる」として、17社に行政処分を下しております。

消費者庁によると、対象は据え置き型が大幸薬品の「クレベリンゲル」など10商品で、携帯型が中京医薬品(愛知県半田市)の「クイックシールドエアーマスク」など15商品。
17社は、早い社で2009年11月からホームページや新聞の広告欄などで「ポンとおくだけ! 空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」などと宣伝。
17社は消費者庁に根拠とする資料を提出したが、このデータは、二酸化塩素の殺菌効果を密閉空間で実験したデータで、人の出入りや空気の流れがある生活空間で使うには、十分な裏付けとは言えないと判断しております。

この「空間除菌」については、2011年に国民生活センターが行った調査においても「二酸化塩素による部屋などの除菌をうたった商品は、様々な状況が考えられる生活空間で、どの程度の除菌効果があるのかは現状ではわからない」と発表されております。

※二酸化塩素「クレベリンゲル」などの商品について、密閉した空間では除菌効果はデータとして検証されております。あくまでも、非密閉空間・生活空間では効果が検証出来なかったという事ですので、二酸化塩素「クレベリンゲル」などを密閉空間で使用するには効果が検証されております。
例:駐車状態の車内に設置し、除菌をするには除菌効果はございます。ご活用ください。

また、2020年5月にも、消費者庁が「身につけるだけで空間のウイルスを除去」などとうたっていた販売事業者5社に対して、「合理的根拠がないおそれがある」として行政指導を行っております。

健康被害について、消費者庁は2020年8月に「首から下げるだけで空間除菌」が行えると称する商品(二酸化塩素を利用した商品)を使用中、やけどのような状態になったという事故情報が2020年6月~7月で少なくとも4件、消費者庁に寄せられたと注意喚起をしました。

厚生労働省も「これまで、消毒剤の有効かつ安全な空間噴霧方法について、科学的に確認が行われた例はありません」として、同様の見解を示しており、この問題はまさにいたちごっこ状態となっております。

現在、未だドラックストアや、ネットショッピングサイトで「空間除菌中」とアピールされた商品を見かけます。

経済合理性と消費者心理のスパイラル

なぜ、このような「合理的根拠がない商品」がはびこるのでしょうか?

それは、大きく2つの理由があります。

  • 1つ目は「売れるから作る」というメーカーの経済合理性
  • 2つ目は「念には念を」という生活者の心理

この2つが相互に作用することで、「合理的根拠がない商品」が世の中に居残ってしまうといえます。

経済合理性とは、メーカーについていえば「主に自社の利益について考え、自社の利益が最大化するように常に合理的な行動を取る」という傾向で、噛み砕けば「売れるものを作る」ということです。

新型コロナウイルス感染拡大の昨今においては「空間ごと除菌できる」ようなイメージを与えれば当然、商品の売れ行きは上がります。

警備大手のALSOKと提携して自社の空間除菌用品50万個を目標に販売(法人を対象)するとしていた大木製薬は、記者が取材中にそのプレスリリースの表現の問題点を指摘した際、松井秀正社長自ら「どうしても売れる、安易な方向に行ってしまうのは事実」と認めました。

このプレスリリースには雑貨の宣伝には使用できないはずの「新型コロナウイルス」「感染症予防」「感染対策」などの文言が盛り込まれていましたが、取材後に削除されたとの事です。

販売する側の問題だけなく、購入者(消費者)の問題はどうでしょうか?

購入者(消費者)は、「空間除菌」の効果を心から信じているか?というと、人によって程度の差はあれ、「おまじない」程度に考えている人もいるのではないでしょうか。

空間除菌用品は首から下げるタイプでも、置型でも、1つの商品の値段は1000円~2000円程度のものが多く、念には念をの「おまじない」として、ついで買いをするにはちょうどよいお値段です。

ウイルス対策全般についてですが、有効な対策があればそれは世界中で検証され、導入されています。

例えば、手洗い・アルコール消毒、マスクの着用、三密の回避、そしてワクチン接種などです。

メーカーは「売れるから作る」、生活者は「良さそうだから」と買う

残念ながら、今後、日本では「売れるから作る」商品が多く出回ると感じております。

それは、日本経済、景気は今後、悪くなるという経済学的データがあるからです。

人口減(2018年の出生数91.8万人、過去最低を更新)や、日本以外、特にアジアでの経済力の伸びに伴う、日本の稼ぐ力の低下。そして、災害大国…

※世界経済における日本のプレゼンスは弱まっており、世界のGDPに占める日本の割合の推移をみると、1980年に9.8%だったものが、1995年には17.6%まで高まった後、2010年には8.5%になり、ほぼ30年前の位置付けに戻っております。現在のまま推移した場合には、国際機関によれば、2020年には5.3%、2040年には3.8%、2060年には3.2%まで低下すると予測されております。

※南海トラフ巨大地震において、最悪の場合、死者は32万人を超え、経済被害も220兆円を超えると想定されております。

このような現象が起きる事で、残念ながら「売れればどんなものでも売れ」が当たり前になるからです。

違法な宣伝や粗悪な作りの商品には行政指導などの直接規制によりメーカーの経済合理性に歯止めをかけることが可能ですが、次々に新しい商品や別のメーカーの商品が生み出され、いたちごっこになっております。

「合理的根拠がない商品」は「買わない」「無視する」そんな、賢い消費者になってください。

追記「高額収入」「誰でも簡単に稼げる」などの儲け話しにもご注意下さい。

「誰でも簡単に稼げる」方法があれば、誰にも教えません。

誰にも教えず、独り占めするはずです。

「高額収入」「誰でも簡単に稼げる」に引き付けられる人を利用する者が「高額収入」「ぼろ儲け」する、そういう意味です。