国土交通省が、入居者が自宅内で死亡した物件について自然死(老衰・病死)の場合に「事故物件」扱いとせず、次の入居希望者に告知する必要はないとする指針案を発表しました。
事故物件ガイドラインとは、これまで明確な基準がなく、あくまでも事例ごとに、「一般的に抱くマイナス感情」と照らし合わせながら、各不動産仲介業者が事故物件と定めるかどうか判断され、トラブルになる事が多かった「事故物件(心理的瑕疵)について、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき責務について、現時点における裁判例や取引実務に照らし、一般的に妥当と考えられる解釈を示したのもです。
このガイドライン公表は、告知基準を明確化することで、これまで慣例として不動産業者が募集ビラや契約書面で告知を行う場合が多いが、業者によって対応に差が生じていた問題を踏まえ、また、事故物件になると賃料や販売価格が下がるとして、特に高齢の単身者に家を貸すのを嫌がる事例も相次いでいたこともあり、確定される事になったとの事です。
指針案では、自然死(老衰・病死)の他、階段から転落などによる事故死も、原則として告知する必要はないとしております。
ただし、殺人(他殺)・自殺に加え、自然死でも長期間放置により異臭や虫が湧いているなどの状況の場合には、原則として告知が必要としております。
今回の告知基準を明確化は、今後、2021年6月18日までに、パブリックコメントを募集したうえで、寄せられて意見を踏まえ、最終的な内容が確定されるとの事です。
詳しくは、下記資料をご覧下さい。
国土交通省:報道発表資料(PDF形式)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001405224.pdf
2021年5月20日、国土交通省:宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html
実曖昧だった「事故物件」の定義や判断基準&告知するかどうかの線引きは⁉
そもそも「事故物件」は何をもって、事故物件と呼ばれるのでしょうか?
「事故物件(心理的瑕疵)」とは、入居者が死亡した物件を指し、死亡の原因はさまざまですが、主に『殺人(他殺)』『自殺』『自然死』の3種類となります。
ただし、この3種類を同等に『事故物件』と扱うべきか否か、基準は極めて曖昧で、例えば、凄惨な殺人事件に巻き込まれて亡くなったとなれば、当面の間は間違いなく事故物件扱いになります。かたや家族で暮らしていて、おばあちゃんが急に具合が悪くなって突然死してしまい、すぐに発見された場合、家族の一員が寿命で亡くなるのは普通のことなので、事故物件と扱わない事が多くあります。
「誰かが亡くなった部屋=事故物件」ではなく、あくまでも事例ごとに決めており、”一般的に抱くマイナス感情”と照らし合わせながら、各不動産仲介業者が事故物件と定めるかどうか判断されております。
その為、仲介業者によっては事故物件であることを伏せたりするケースが起きる事もあります。
そうした入居者の不利益を防ぐため、『瑕疵(かし)担保責任』という宅地建物取引業法のルールがあり、業者にペナルティを与えることができます。
『瑕疵』とは『欠陥』のことで、貸主には物件の欠陥を担保する責任があると定められており、事故物件は『心理的瑕疵』に相当するとされ、例えば、前の入居者が自殺をした部屋だと知らずに入居して、暮らしはじめて3カ月後に別部屋の入居者から聞いた場合、そこで、『もし自殺があったと知っていれば入居しなかった』と判断した場合は、貸主に損害賠償を請求することが出来るというモノです。
こうしたリスクを回避するため、同法でも告知義務が定められております。
しかし、告知義務はあるものの、その期間については明確に定められておらす、これについても「ケースごとにオーナーと相談しながら決められているのが実情ようです。
特に、単身者向けのアパートやマンションであれば、ご近所づきあいが少ないため噂も立ちにくく、短期間で風化します。
入居者が亡くなった後に、別の方が一度入居された物件であれば告知しないケースも仲介会社によってはあり得るかもしれません。
厳密な期間が定められていないので、いろいろな状況を踏まえて告知する期間を模索しているのが現状です
ちなみに、『心理的瑕疵』については、「嫌悪施設(嫌われている施設)が周辺にある」「指定暴力団等の事務所がある」といったケースも含まれます。
動産トラブルや苦情の相談窓口のご案内
不動産トラブルが発生した場合、下記相談窓口に相談してみて下さい。
国民生活センター(消費者ホットライン)
問い合わせ先:局番なしの「188」消費者ホットライン(全国統一番号)、0570-064-370
消費生活全般に関する苦情や相談を受け付けています。不動産関係なら欠陥住宅やシックハウス問題、契約時や退去時の金銭トラブルなど。リフォーム詐欺や引越業者とのトラブルもこちらになります。
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)
問い合わせ先:0570-016-100(一部のIP電話からは03-3556-5147)
住宅相談の専門窓口であり、物件や業者選びの注意点から住宅の欠陥に関する相談、業者とのトラブル、リフォーム見積金額の相談など、住宅に関する相談を幅広く受け付けつけています。詳細なアドバイスを希望する場合は、専門家による相談も可能です。
法テラス(日本司法支援センター)
問い合わせ先:0570-078374(一部のIP電話からは03-6745-5600)
法律に関するさまざまな相談を受け付けています。不動産のトラブルに関して弁護士に相談したいけれど伝手がない、費用が心配…と言う場合は、まずこちらで無料相談をすることをおすすめします。賃貸借契約や土地購入時の登記や手付金に関する相談、家賃滞納、欠陥住宅などはこちらで。また、法律関係では司法書士総合相談センターでも受け付けています。
首都圏不動産公正取引協議会
問い合わせ先:03-3261-3811
「不動産広告」についての相談・苦情のみ受け付けています。契約トラブル等のご相談は受け付けていません。 過大広告や虚偽広告などの不動産広告被害に遭った場合には、こちらに相談しましょう。
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