相談経緯・内容
運転免許証やマイナンバーカードには、氏名に読み仮名が表記されておらず、また、健康保険の被保険者証は写真付きではないため、郵便局側が求める本人確認書類を提示することができず、郵便物は差出人に返送されてしまった。
今回の男性が郵便物を受け取れなかった最大の要因は、この郵便物が、「特定事項伝達型の本人限定受取郵便」でなおかつ、宛名が「カタカナ」表記だったことです。
そして、総務省が調べたところ、日本郵便が特定事項伝達型への本人確認書類と定めているのはマイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど写真付きの13種類ですが、日本人について、いずれも氏名をカタカナで表記しているものはありません。
唯一、沖縄県内の市町村が発行する「離島住民割引運賃カード」は氏名の漢字に読み仮名（ルビ）が振ってありますが、日本郵便は「ルビはあくまで読み方である」という見解のため、結局、本人確認書類が漢字表記であった場合は宛名が「カタカナ」の郵便物は受け取ることはできません。
総務省によると2026年度以降、マイナンバーカードに読み仮名のほか、希望者にはローマ字と西暦の生年月日も追記欄に記載できるようになる見通しですが、現状の日本郵便のルールのままでは、宛名がカタカナの郵便物は受け取ることはできないといいます。
総務省が複数のクレジットカード会社などを対象に調査したところ、最も多い会社で年間約6600件が返送されていました。これは、この会社の発送数全体の6％を占めています。このうち「氏名の不一致」が理由のものは約600件あったということです。
「渡邊」→「渡辺」もダメ、調査の際、クレジットカード会社からは「カタカナだけでなく『渡邉』『齋藤』の宛名が『渡辺』『斉藤』と記載していて返送されたこともある。外国人の顧客も増えてきているので、本人確認について柔軟に対応してほしい」という意見も寄せられています。
「特定事項伝達型の本人限定受取郵便」とは
金融機関やクレジットカード会社がキャッシュカードやクレジットカードを送付する際に、差出人に代わって日本郵便が本人確認をして手渡すもので、犯罪防止のため厳格な本人確認が義務付けられています。
「行政相談」とは
総務省の行政相談は、行政全般について国民からの苦情や意見、要望を受け付け、担当行政機関とは異なる立場から、必要なあっせん等を行い、その解決・実現を図るとともに、行政の制度及び運営の改善に生かす仕組
特定事項伝達型に係る制度
○ 犯罪収益移転防止法（以下「犯収法」という。）は、金融機関等に対し、取引開始時に、顧客の氏名、住居等を確認するよう義務づけている。
○ 特定事項伝達型は、日本郵便が金融機関等に代って犯収法で求められる本人確認を行うサービス。WEB上で申し込みを受け付ける等、金融機関等が顧客の本人確認を行えていない場合に日本郵便が受取人の本人確認を行った上で、郵便物を配達・交付する手順で利用されている。
○ 犯収法を踏まえ、日本郵便では、特定事項伝達型の配達･交付時の本人確認書類をマイナンバーカード、運転免許証、在留カード等13種類に限定。健康保険証等氏名に読み仮名が付された写真のない本人確認書類で氏名の読み方を確認することは認められていない。13種類の写真付き本人確認書類の中にカタカナで氏名が表記されるものはない。
※よって、宛名がカタカナで記載され、本人確認書類の氏名が漢字やローマ字の場合、特定事項伝達型を受け取れない。
相談を受けた総務省がクレジットカード会社等に対する調査結果を行った結果
○ 銀行、クレジットカード会社、証券会社計8社にアンケート調査を実施したところ、いずれも特定事項伝達型を利用し、キャッシュカード、クレジットカード等を送付（最も多い社は240,000件/年）。また全社で、顧客の氏名にシステム登録できない文字が含まれる等の事情で宛名をカタカナで記載するケースあり。
○ 宛名と本人確認書類の氏名が一致しないことを理由に返送された件数を把握している3社のうち1社では600件/年（特定事項伝達型の送付数の0.55%）が氏名の不一致により返送されるとしている。返送により、契約不成立や改めて本人確認を行った上での再送付など受取人、差出人双方に負担が生じている。
総務省中部管区行政評価局はこれらの調査結果や有識者による会議を経て「あっせん」という形で次のように改善要請を行っております。
1 宛名が全てカタカナで表記されている場合、日本郵便が定めた13種類の写真付き本人確認書類では氏名の確認ができず、配達や交付できない取扱いとなっていることを踏まえ、ホームページ、日本郵便の窓口、特定事項伝達型の受取人に対する通知等において、受取人に交付できない事例を具体的に明示すること
2 外国人の受取人が増加していることや今後、戸籍やマイナンバーカードに読み仮名が記載されること等を踏まえ、特定事項伝達型の配達や交付に係る本人確認方法について、その安全性や確実性に配慮しつつ、工夫できる余地はないか検討し、一定の見直しを行うこと
総務省：報道資料PDF
https://www.soumu.go.jp/main_content/000945846.pdf
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