毎年夏になると繰り返される悲しい事故
夏になると、窓を閉め切った車内に子どもを放置し、亡くなってしまったという死亡事故、いや、事件のニュースが流れます。
短い時間であれば車内に置き去りしたからといってダメージはないかとお思いかもしれませんが、晴れた昼間であれば想像するよりも短時間で車内温度は危険な領域に達してしまいます。
【Youtube動画】炎天下の車内温度の変化と危険性を検証
気温35℃では、エアコンを切ってから15分で熱中症指数が危険領域に(出典・素材提供:JAF)
エアコンを切ってから15分で熱中症指数は危険領域に
JAFによるユーザーテストによると、気温35℃の晴れの日の実験では、エンジンを切ってから1時間程度で、ダイレクトに陽のあたるダッシュボード上は70℃を超え、座席付近でも50℃を超える結果となった。また、熱中症指数でいうと15分ほどで危険域に達してしまう。
「ちょっとの時間」が、車内に残された子どもにとっては命の危機なのは言うまでもありません。
エンジンを止め、エアコンを切った状態で炎天下に駐車したクルマの中は非常に危険な空間です。
「ぐっすり眠り込んだ乳幼児を起こしたくない」、という気持ちに保護者はなってしまうのかもしれませんが、子どもを車内に放置してしまうのは本当に危険な行為で許されない行為なんです。
パチンコ・パチスロの関連団体が取り組んでいる啓蒙活動
炎天下の車内で子どもが命を落としてしまう事故といえば、パチンコ・パチスロのホールに隣接した駐車場で多く発生しているという先入観を持っているかもしれませんが、むしろ自宅や職場の駐車場で子どもを降ろし忘れてしまい、結果的に放置してしまったというケースも目立っているようです。
また、パチンコ・パチスロの関連団体などで「子どもの車内放置撲滅キャンペーン」という啓蒙活動をしていることも、事故防止に効いている面もあり、平成29年度の死亡事故は2件(2名)となっています。
さらに、ホールなどでは駐車場内をパトロールするなど未然に発見、救出活動が増えていることが悲惨な事故を防いでいるようです。
全日本遊技事業協同組合連合会によると、平成29年度における車内放置からの救出件数は82件(104名)になっているとの事です。
救出活動を実際に行なっているのは、ホールスタッフが中心となっているそうだが、スタッフの巡回だけで子どもが車内放置されている全てのケースを発見するのは難しく、82件の救出事例を見ても、数件は来店客によって発見され、ホールスタッフへの連絡があったことで救出につながったようです。
車内放置を見つけた場合はどうすればいいのか
急を要するケースだと感じた場合、自ら手を出したいと思うかもしれませんが、対応を訓練したプロに伝えるほうが結果的に素早く確実に救出できます。
パチンコ・パチスロに限らず、スーパーマーケットやショッピングモールなどの駐車場で、子どもが車内放置されているのを見つけたときは、基本的には店舗側のスタッフに速やかに伝えることがベストの行動といえます。
その際、車両の特徴(車種、色、ナンバー)や駐車場所だけでなく、発見時の子どもの様子も伝えるようにしてください。
そうした情報をもとに館内放送などで保護者(クルマの利用者)を呼び出すと同時に、スタッフがクルマの傍から子どもの様子を確認しつつ、必要に応じて、警察や消防(救急)に通報してもらえます。
厚生労働省が定義する児童虐待の分類
子どもの車内放置は育児放棄!!
ちなみに、厚生労働省による児童虐待の定義を見ると、子どもの車内放置はネグレクト(育児放棄)の一種として分類されています。
「ちょっとだけ」という軽い気持ちでの行為が取り返しのつかない結果となってしまうことも…また、子どもに限らず、窓を閉め切った状態での車内放置は高齢者やペットにも負担のかかる行為であることは、ドライバーであれば認識しなければいけません。
哀しい事故をなくすためにご注意下さい。