“公害”と聞くと、水俣病・新潟水俣病・イタイイタイ病・四日市ぜんそくといった四大公害を始めとした、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、地盤沈下など高度経済成長期の大規模な工場から出た煙や排水による汚染をイメージする方が多いかと思います。
しかし、“公害”は、日常生活のなかでも、騒音や悪臭・振動など、これらも立派な“公害”なんです。
「公害」とは、
環境基本法により、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること、と定義されており、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭までの7種類は”典型7公害”と呼ばれています。
なお、「相当範囲にわたる」については、ある程度の広がりがあれば、被害者が1人の場合でもこの制度の対象となります。
また、被害は、既に発生しているもののほか、将来発生するおそれのあるものも含まれます。
例えば、
- 「家の前の深夜営業のお店の音がうるさくて夜眠れない」
- 「隣の飲食店の料理の臭いが酷く、洗濯物も干せないし、窓も開けられない」
- 「田畑で野焼きをしていて、煙で困っている」
- 「近くの養豚場や養鶏場などからの臭いに悩んでいる」
- 「ダンプカーが出入りする際の、粉じんや騒音で迷惑している」
- 「コンビニ駐車場の車の音」
- 「店舗の大型空調の室外機の音」
- 「鉄道・高速道路による騒音・振動」
- 「工場からの騒音・振動」
このような身近な暮らしの“公害”で悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
身近な公害、騒音や悪臭・振動など…ご存知ですか?「公害苦情相談窓口」
相談は、直接窓口に出向かなくとも、電話や手紙でも受け付けてくれるところもあります。
そして、相談員が現場を訪問し、実際の被害の状況などを調べたり、相手方に話をして改善してもらったりしてくれます。
全国の『公害苦情相談窓口』では毎年およそ7万件の相談に対応し、その9割以上が、一旦解決に至っているとの事です。
よくある相談として、コンビニの駐車場の車の音や、店舗の大型の空調の室外機の音などについての相談が多いそうです。
そのような相談の場合には、相談員が現場に行き、騒音の状況を周囲の住人に話を聞いたり、機械を使って騒音レベルを測定したりして被害状況を掴み、相手方に苦情が出ている状況を説明し、改善に向けて相談してくれます。
相談は住民からだけでなく、店側からの相談「近所からクレームがきている。どうすればいいですか?」にも、解決に向けて対応してくれます。
公害苦情の受付から解決までの流れ
- 苦情受付
- 原因究明(事情聴取:申立人 付近住民等 発生減者)
- 公害防止改善対策の検討
- 発生減者に対する改善指導等
- 申立人への処理経過説明
- 解決
- 事後確認(アフターケア)
相談の9割以上が一旦解決に至っているものの、ときには解決しないこともありますが、その場合には、専門家が双方の間に入り、話し合いで解決を図る「公害紛争処理制度」を設ける事になります。
専門家に介入してもらい、柔軟な手続きで早く解決したい場合に利用でき、公害苦情相談では解決できないような問題も解決に至るケースがあります。
公害苦情相談制度とは
身近な相談窓口で簡単な手続によって解決を図る制度です。
各市区町村や都道府県の「公害苦情相談窓口」で気軽に相談出来ます。窓口では、事実関係の調査を行うとともに、関係機関とも連絡を取り合い、当事者に対して改善措置の助言等を行うなどして、解決を図り、また、相談しても解決しない場合の手段として、「公害紛争処理制度」が設けられています。
公害紛争処理制度とは
公害紛争の迅速・適正な解決を図るため、司法的解決とは別に公害紛争処理法に基づき、公害紛争処理制度が設けられています。公害紛争を処理する機関として、国に公害等調整委員会が、都道府県には都道府県公害審査会等が置かれています。
騒音、悪臭、煙、粉じんなど、暮らしのなかの公害でお困りの方は、お住まいの市区町村や都道府県の『公害苦情相談窓口』に、まずはご相談ください。
詳しくは、総務省HP 各都道府県公害審査会等(担当課)ページをご覧下さい。
http://www.soumu.go.jp/kouchoi/complaint/contact.html
また、困りごとが公害なのかどうかわからなくても、相談は無料ですので気軽にご相談をしてみて下さい。