医療事故調査制度は、医療法に位置づけられた制度で2015年(平成27年)10 月1日に施行された制度です。

「医療事故」の判断・報告とは?

この制度の対象となる「医療事故」 は、「病院」「診療所」「助産所」に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる「死亡」又は「死産」であって、その管理者が該当「死亡」又は「死産」を予期しなかったものであり、法令等に規定されたものとされております。

この制度の「医療事故」に該当するかどうかについては、医療機関の管理者が組織として判断し、該当すると判断した場合は、ご遺族への説明後、医療事故調査・支援センター(一般社団法人日本医療安全調査機構)に医療事故発生の報告をします。

第三者機関である「医療事故調査・支援センター」がこの調査結果を受け、収集・分析する事により、医療事故の再発防止につなげる制度です。

※医療機関の管理者はこの報告を行う事が義務付けられており、ご遺族が報告するしくみとはなっておりません。

※この制度は医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うことであり、責任追及・刑事罰を目的としたものではありません。

医療ミスによる裁判も起きております。

日本では、年間約4000件くらいの医療ミスが発生しているとのデータ(2017年は4095件、2018年は4565件)があります。

裁判事例➀ 

医療事故の裁判では2019年、九州大病院(福岡市東区)で検査を受けた30代の女性が、脳腫瘍の疑いがあったのに適切な治療がされず、その後合併症で、記憶障害などの後遺症を負ったとして訴えた裁判がありました。
判決では、大学病院の医療ミスを認め、慰謝料など同病院に約1億5700万円の支払いを命じたものでした。

裁判事例② 

千葉大医学部付属病院(千葉市)では、整形外科手術を受けた26才の男性が、看護師のミスで植物状態になった裁判がありました。
26才の男性は上あごと下あごのズレを矯正する手術を受けたのだが、手術の4日後、チューブにたんが詰まって窒息状態になった。
その異変に気が付いた女性看護師2人が5分ほど吸引したが、意識が戻らず、植物状態となった。
判決では、看護師達は呼吸や脈拍を確認する義務を怠った上に、医師を呼ばず、自分たちだけで処理したのも大失態だったと指摘し、家族に1億5千万円を支払うようにを命じた。

医療ミスに遭わない為に…

医療ミスに遭わない為に名前はフルネームで伝えるようにしてください。こんな事でと思われるかもしれませんが、患者の取違はおきております。事故防衛の為に、通院・入院中でも常に自ら、名前はフルネームで伝えるようにをしてみて下さい。

医療事故の判断に関する相談

医療機関が行う「医療事故の判断」に関する相談をご希望の場合、判断の参考としていただくため、センターでは複数の医師、看護師による合議を行い、この結果をセンターの医師より医療機関に「助言」として電話でお伝えすることができます。
なお、センターにご相談いただく際の費用は発生いたしません。

医療事故相談専用ダイヤル 03-3434-1110

受付:平日9時-17時(左記時間外は医療機関からの緊急時のみ)
詳細はこちら: https://www.medsafe.or.jp/

提供いただく情報(センター合議に必要な情報)

・医療機関の病床数
・診療科
・患者の年齢
・死亡日時
・臨床診断と治療経過
・既往症
・事故発生(医療行為)前後の状況、死亡までの経過(時系列の記載)
・推定死亡原因(提供した医療との関係も含めて)
・死亡の予期に関する説明・記録の状況
・相談内容
・解剖、Aiの実施状況