猫は死ぬ前に姿を消す、と言います。
実際、当店では猫の死骸回収の依頼を多くお請けしておりますが、床下や、倉庫の裏、狭い隙間に入り込んでいる事があります。
弱っているからこそ、身を隠すという事でしょうが、飼い主の前から姿を消すのは、飼い主に心配をかけないようにそっと姿を消すと良く言われます。
また、猫が自分の死ぬとわかった時、姿を消す以外にする『行動』があると言われております。
死を悟った猫の『さよなら』のために知っておきたい、猫の死を知ってからの行動をご紹介します。

猫はなぜ、姿を消す!?

昔から猫は死ぬ前に姿を消す、と言われますが、「実はそんなことはない」と言うことがわかってきております。
昔は現代のように室内で飼われている猫が少なく、自由に外と家を出入りしていました、その為、猫が事故などである日突然いなくなってしまい帰ってこなくなるということは当然起きておりました。
それだけではなく、猫の特性的にも『死ぬ前にいなくなる』と思われていた理由があり、それいは、猫は具合が悪くなると静かなところで体を休むため、外敵などから身を隠せる床下や、倉庫の裏、狭い隙間に入り込んでいる見つからないという事があると言う事です。
誰にも邪魔をされず、静かでなるべく暗い、見つかりにくいところで体が回復するまでを過ごすのだそうです。
元々単独生活を送っていた猫が身を守るためにも、静かで見つかりにくい安全な場所に隠れ、体を休めるのは当然のことでしょう。
猫自身が「死を悟って」姿を消すわけではなく、猫はあくまでも『体が回復』させる目的で一時的に身を隠す形で休憩しにいき、そして、そのまま死んでしまうことがあるというだけのようです。
けして、猫が弱っている姿や死ぬところを飼い主さんに見せたくなくて姿を隠す、というわけではないようです。
ただし、すべての猫に当てはまる事でもなく、なついていた野良猫がいつもの寝床(家主が用意していた簡易ハウス)で、安らかに眠ったというケースもあります。
自由気ままな猫の事は、わかない事が多いですが、死を悟った猫がとる行動があります。
ご参考にしてみて下さい。

因みに、動物の死の概念、動物は「死」を理解していない

英国の動物行動学者デズモンド・モリス博士(世界的ベストセラーとなった『裸のサル』を始め、『人間動物園』『マンウォッチング』など著書多数。)によると「猫は自分自身の死という概念を持っていないので、どんなに気分が悪くても自分の死を予測できない」と断言しております。
ですから、死が近くなり苦しくなっても、それを死と結び付けて考えることはせず、これは猫に限らず、多くの動物もそうで、病気や怪我で苦しい思いをしても、その苦しみから来る不快感と、敵から威嚇された時の不快感の区別がつかない為、敵が身近にいる時のような行動をとるのだそうです。
猫もまた死期が迫り苦しみが大きくなると、自分に危険を与えるものから逃れようとして、安全が「隠れ家」に逃げ込もうとする。身を隠そうとする。そこから出ると、さらに大きな苦しみが待っているかもしれないので、猫はそこから出る事が出来ず、それでそこにいて、そのまま死を迎えると結論づけております。

死を悟った猫の3つの行動をご紹介

1.元気を取り戻す

「今思えば、あれは最期の時間を過ごすためだったのかも」と思うほど、愛猫の最期の時間には「いきなり元気になる」という時間があるようで、愛猫の体調が悪化して、もうダメかもしれない…と覚悟した矢先に、愛猫が自分で立ち上がれるようになったり、ごはんを食べられるようになったりして持ち直すことがあります。
回復したのかな?と思うほど元気になっても、最期の時間は回復と悪化の波が見られることが多いようです。
猫の最期までの時間には、悪化と回復の波が見られることが多々あります。これは猫に限らず、犬や人間にも見られることもあります。人間の場合、この「いきなり元気を取り戻す」という現象は「中治り」と言われています。実際には確実に死へと時間が進んでいますので、いきなり治ったわけではありません。

「中治り」は「仲直り」と同じ発音のため、元気を取り戻したこの時間の中で仲直りをしておくべき、と言われているのです。猫の場合も同じく、この「中治り」の時間は「エンジェルタイム」とも呼ばれ、猫ちゃんが最後に振り絞ってくれた元気をしっかり受け止めて、有意義に過ごすことが大切であるという考えが広まっています。

2.いつも以上に甘えん坊になる

猫の死の前に、『猫がいつも以上に甘えてくるようになった』という話はじつはよく聞きますが、猫が死ぬ前に急に甘えてくるようになるのか、科学的なことはわかっておりません。
しかし、人間もしんどいときに人恋しくなることがあるように猫も人恋しくなるのかもしれません。

猫は自分の体調をよく理解している

ペットとして飼われている猫でも、猫はまだまだ野性味を強く残した動物ですので、それは、自分の体調を自分自身でよく理解しているとも言えます。
だからこそ体調不良になると、とても不安を感じるのではないでしょうか?
命が終わる前にはとても甘えてくる愛猫が多いと言われるのも、飼い主という存在は猫にとって「母猫」という立場であることが多いためで、自身の不安感を和らげようとして甘えん坊になると考えられております。
そんな、時でも飼い主さんの「いつも通り」が安心をあたえます。
猫も人間同様に、生き物としての生存本能によって死への恐怖があると考えられており、自身の不安感を和らげようとして甘えん坊になる、そんな時、飼い主さんが「いつもと違う」対応をしてしまうと、愛猫はもっと不安になってしまうでしょう。
愛猫が最期の時間に甘えん坊になったとしても、飼い主さんは「いつも通りに」甘えを受け止めてあげれば、愛猫はとても安心できるはずです。

3.大きな声で鳴く

愛猫が死んでしまう前に、お別れが近いと教えてくれるかのように「頻繁に鳴いていた」という話もよくあります。
猫にも「認知症」がありますので、老猫の場合には認知症の症状である可能性もあります。
特に「認知症」になると、食事を求めてよく鳴く事があるようです。
そして、体調不良による不安感の表われとして鳴く事もあり、「今思えば、最期にあいさつしてくれていたのかも」と感じてしまいます。
そんた時でも「いつもと違う行動」をしっかり受け取ってあげることが重要と言えます。
✔いきなり元気になった
✔いきなり甘えん坊になった
✔いきなり鳴き声を上げるようになった
このように、今までとは違う行動を見せた時には、お別れが近付いている可能性が考えられます。
これは猫ちゃん自身も、自分の体調を知っているためと考えられますので、残された時間を有意義に過ごすためにも「いつもと違う行動」を察知してあげて、安心させることが重要となります。

最後に

愛猫が弱っていて、体の衰えがあってほとんど寝ているような状況であっても、猫自身はそれなりに『猫らしく』過ごしたがることも少なくありません。
猫の体調がよいときには、室内飼育の猫にとっての縄張りである部屋の中を見回るそぶりを見せたり、高いところに行って外を眺めようとしたり、あえて日が強く当たる場所に行って日向ぼっこをしようとすることもあります。
このような要求が見られた際には、飼い主さんに無理のない範囲で、なおかつ猫にとって事故がないよう常に見守りながら、その気持ちを都度満たしてあげて下さい。
また、「いつもと違う」という違和感があるようなら、病院に連れて行く事も必要です。そのときにしてあげられる手厚いケアを心がけながら、愛猫との時間をより大切に過ごしていただくとよいと思います。