「あおり運転」から「ゆとり運転」へ

警察庁は8日、6月1日~7日の期間に高速道路上で初めて行った「あおり運転」の一斉取り締まりを行い、その摘発件数の発表がありました。

その件数は、計1296件

違反の内訳

  • 「車間距離保持義務違反」1088件
  • 「追越し方法違反」110件
  • 「進路変更禁止違反」56件

昨年1年間の摘発件数は6139件でしたので、6月1日~7日の期間で2割近くに上ったが、逮捕者はいなかったとの事です。

警察が「あおり運転」の罰則強化!免停の可能性も

警察庁は現在、車を使って暴行事件を起こすなどして将来的に事故を発生させる可能性があると判断した運転者に対しては、交通違反による点数の累積がなくても最長180日間の免許停止ができる道交法の規定を適用して防止するよう取り組んでおります。

2018年1月からはさらに罰則が強化され、悪質・危険とみられるあおり運転には、道路交通法違反のみならず、危険運転致死罪や暴行罪などを適用し、これまで以上に罰則を強化しております。

妨害を目的とする運転の態様と違反の種別

運転の態様 違反の種別(道路交通法)
前方の自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発する 車間距離保持義務違反(法26条)
危険防止を理由としない、不必要な急ブレーキをかける 急ブレーキ禁止違反(法24条)
後方から進行してくる車両等が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないように進路変更を行う 進路変更禁止違反(法26条の2第2項)
左側から追い越す 追越しの方法違反(法28条)
夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する 減光等義務違反(法52条第2項)
執拗にクラクションを鳴らす 警音器使用制限違反(法54条第2項)
車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う 安全運転義務違反(法70条)
「あおり運転」によって交通事故を起こし、相手を死傷させる 危険運転致死傷罪

「あおられている?」それとも、あなたが「あおっている?」

「あおり運転」は、一般的に前の車との車間距離を詰めたり、ハイビームやパッシング、不必要なクラクションを使ったりすることで、前方または周囲の車を威嚇・挑発する行為とされております。
交通マナーに関するアンケート調査によると、ドライバーのほとんどは「思いやりを持ち、交通マナーを意識して運転している」と答えていましたが、一方で後続車にあおられた経験が「よくある」「時々ある」と答えたドライバーは半数を超えていたとの調査結果が出ております。
「あまりない」と答えたドライバーも合わせると、あおられた経験があるドライバーは9割を超えます。
つまり、周囲のドライバーが自身の運転を「どう感じているか」考える必要があるという事です。
車の外からは、ドライバーの表情をうかがうことはできません。車の動きで「優しいな」「荒いな」と、相手のドライバーの運転態度を推し量ります。自分は「大丈夫」と思っている車間距離でも、前の車のドライバーは「あおられている」と感じるかもしれないのです。
日頃のあなたの運転が迷惑となっていないか、車間・右左折方法・速度・駐停車方法・一時停止を第三者に確認してもらうようにしてみて下さい。

「あおり運転」にあったら、通報前の注意点

「あおり運転」にあった場合には、サービスエリア・パーキングエリアなどの交通事故に遭わない場所に避難するとともに110番通報するようにしてください。

無理に自分で対応・解決しようとはしないでください。

警察に通報するときは、以下のことに注意しましょう。

■速度を落とし、十分な距離を取り、安全な場所に停車する。(あおり運転から逃れるために、超過速度で走行してしまおうと考えるかもしれませんが。しかし、煽られた車が猛スピードで走行したために事故になってしまった事例もあります。後続車に煽られ逃げ出したくなっても、冷静さを保ち無視を決め込みましょう。)
■警察に状況を正確に伝えるために、実際のトラブルの状況、相手のナンバーや車種、進行方向をしっかりと記憶しておく。
■状況によっては相手が車を降車し、文句を言いに来ることもあるので、ドアはしっかりロックする。(相手の言い分を無視して、警察の到着を待っても何も問題はありません。)
■相手に脅されたり、挑発されたりしても決して外に出ない。(むやみに会話を試みれば相手のペースに乗せられ、不利な状況になったり、最悪の場合暴力沙汰に発展することも考えられます。)

サービスエリアにも交番を…

これは私個人的な意見ですが、出来ればサービスエリアにも交番を設置してほしいと願っております。

「あおり運転」での事故の罰則

「あおり運転」によって交通事故を起こし、相手を死傷させてしまった場合には、危険運転致死傷罪が適用され、以下の罰則が科せられます。

・負傷事故で最長15年以下の懲役
・死亡事故で最長20年以下の懲役(場合により最長30年以下にも!)
・違反点数45~62点、免許取り消し、欠格期間5~8年の行政処分

「あおり運転車」が急ブレーキで追突

「あおり運転」をしてくる車が急ブレーキを掛けた前方の車に追突した場合、後方車は一定の車間距離を保つ義務があるので、100%相手の過失となります。
ただし、故意に急ブレーキを掛けて追突させた場合は前方の車にも過失が生じます。
その場合でも「あおり運転」をしてくる方に問題があると見なされ、過失割合は自車より相手側の方が大きくなるようです。

「あおり運転車」対策

「あおり運転」の決定的な対策は残念ながらありません。
しかし、「あり運転」を記録する。証拠と残すためには「ドライブレコーダー」は必須アイテムです。
「あおり運転」だけでなく、事故を起こしてしまった際に、しっかりと証拠が確保できるので、事故後のトラブルを少なく、早期に解決させることが出来るのは言うまでもありません。
万が一、「あおり運転」の加害者が逃げてしまった場合にも、ドライブレコーダーがあれば、車種やナンバーなどから加害者を特定することができます。
「ドライブレコーダーは経済的にちょっと」と思っている方へ
「あおり運転」をする加害者を直接避けるということは、なかなか厳しいですので、何かあったときに役に立つ方法を事前に準備しておくことが何より大切なアイテムです。

「あおり運転」に巻き込まれたら、弁護士に相談を

「あおり運転」の被害者になってしまった場合、加害者に慰謝料を請求することも可能です。
「怪我をしてしまった」「負傷してしまった」「精神的障害が残ってしまった」「報復トラブルで暴行を受けた」など様々な被害ケースが考えられます。警察には報告したけれど、それだけでは納得できないという方は弁護士にご相談ください。
また、その際にも、ドライブレコーダーによる証拠映像が必要となります。「ドライブレコーダーは経済的にちょっと」と思っている方へ設置をお願いいたします。

弁護士に依頼する際には…交通事故に強い弁護士とは?

弁護士の取り扱い分野にはさまざまなものがあり、すべての弁護士が交通事故に積極的に取り組んでいるわけではありません。交通事故が得意ではない弁護士もいますし、取扱があってもさほど多くない弁護士もいます。
交通事故事件に強い弁護士を探したい場合には、交通事故事件に専門的に取り組んでいる弁護士が望ましいです。
交通事故に強い弁護士を探したい場合には、ホームページに取扱実績を載せていることが多いので、交通事故事件について実績が多いかどうかを確認してみて下さい。
交通事故問題を多く取り扱っている弁護士は、事務所設立後の交通事故案件の「相談件数」や交通事故事件の「解決件数」などを掲載していることがあります。
※「相談件数」とは、今まで交通事故についての相談を受けた件数
※「解決件数」とは、実際に事件を受けて解決した件数

また、交通事故事件委員会に長年所属していたり、弁護士会の交通事故ADRの担当員や、簡易裁判所の調停委員を務めて交通事故事件の解決にあたってきたりした弁護士は交通事故事件に詳しいので、弁護士会で委員や担当員を歴任して活動している方を探してみて下さい。交通事故事件に専門的に取り組んでいる弁護士は、単に取扱件数が多いというだけではなく最新判例などについての研究も欠かしませんし、交通事故事件に精通しているので、効果的な解決方法を知っています。そして、他のたくさんの事例などとも照らし合わせてそのケースに応じた最適な解決方法を導き出してくれます。

交通事故事件の解決実例が掲載されているかもチェックしてみて下さい。
たとえば
「当初は保険会社から200万円の示談金を提示されていたが、弁護士に示談交渉を依頼したら過失割合が下がって示談金が400万円になった」
「弁護士に後遺障害の等級認定手続きを依頼したら、むちうちでも12級の認定を受けることができて500万円の示談金を受け取ることができた」など

解決事例は、事実に基づいてのみ掲載できるので、解決事例が豊富な方が、当然、安心して依頼出来るわけです。
解決事例だけでなく、「お客様の声」「依頼者の声」が掲載されている事もあります。

  • 取り扱い件数(相談件数、解決件数)が多い
  • 解決事例がホームページに豊富に記載されている
  • お客様の声がホームページにのっている
  • 医師との連携
  • 交通事故に力をいれて取り組む実績がある